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文部科学省「教育課程企画特別部会 論点整理」に関する意見表明

文部科学省「教育課程企画特別部会 論点整理」に関する意見表明

 

日本情報科教育学会
会長 森本 康彦

 

日本情報科教育学会では、文部科学省が2025年9月25日に公表した「教育課程企画特別部会 論点整理」に示された方向性を受け、学会としての意見表明を取りまとめました。

本論点整理では、児童生徒の情報活用能力の抜本的な向上を改訂の柱に掲げ、小学校への「情報の領域(仮称)」の付加、中学校における「情報・技術科(仮称)」の設置、高等学校情報科の充実など、情報教育を体系的かつ一貫して強化する方針が示されています。

これらの方向性は、本学会が設立当初から主張してきた理念と軌を一にするものであり、情報教育の新たな展開に向けた重要な転換点と位置づけられます。

本学会は、この方向性を強く支持し、教育現場や教員、教職志望の学生への支援などを通じて、情報教育のさらなる充実と発展に貢献してまいります。

以下に、本意見表明の全文を掲載いたします。

 


 

文部科学省「教育課程企画特別部会 論点整理」に関する意見表明

 

2025年10月1日
日本情報科教育学会
会長 森本 康彦

 

近年、社会の急速なデジタル化・AI化の進展に伴い、生成AIを含む情報リテラシーやデータ活用能力を含む「情報活用能力」は、すべての児童生徒に不可欠な基盤的素養となっています。文部科学省が公表した「教育課程企画特別部会 論点整理」(2025年9月25日)においては、児童生徒の情報活用能力の抜本的な向上を改訂の柱に掲げ、小学校の総合的な学習の時間に「情報の領域(仮称)」を付加すること、中学校に「情報・技術科(仮称)」を設置すること、高等学校における情報科を充実させることといった方向性が示されました。これらは、小・中・高を通じた体系的かつ連続的な情報教育の実現に向けた重要な転換点と評価できます。

 

日本情報科教育学会は、設立時より一貫して「小学校・中学校・高等学校に情報科を設置し、体系的かつ連続的な情報教育を実現すること」を主張してきました。小学校における基礎的な情報活用能力と情報モラルの育成、中学校における情報技術を基盤とした活用力の体系的習得、高等学校における情報活用の実践力・情報の科学的な理解・情報社会に参画する態度の育成を通じ、児童生徒が情報社会を主体的に生きる力を養うことが不可欠であると考えてきたからです。

 

今回の論点整理が示す、小学校の総合的な学習の時間への「情報の領域(仮称)」の付加、中学校での「情報・技術科(仮称)」の設置、高等学校における情報科の充実といった方向性は、本学会の基本理念と整合する内容であり、学会設立以来の提言を発展させるものと高く評価します。本学会は、これらの方向性を強く歓迎し、賛同するとともに、その具体的実現に向けて全面的に協力してまいります

 

具体的には、研究成果の提供と普及を通じて政策的・実践的エビデンスを示すとともに、共通教科情報科(情報Ⅰ・情報Ⅱ)ならびに専門教科情報科の高度化を支える高等学校教員だけでなく、小学校・中学校のすべての教員を対象に、情報教育に関する最新の知見や教材情報を提供し、授業づくりを支援します。また、情報科を専門に教える教員だけでなく、各教科や総合的な探究の時間/総合的な学習の時間で情報教育を担う教員に対しても、本学会ならではの専門的なサポートを行います。さらに、教職を志望する学生に向けて、情報教育に関する学習機会や研修の場を設け、将来の教育を担う人材の育成に貢献します。さらに、継続的な研修やセミナーを通じて、現職教員が生成AIやデータ活用を的確に取り入れた授業を展開できるよう支援していきます。

 

加えて、授業モデルや教材の開発、学習評価の方法論(eポートフォリオを活用した観点別学習状況の評価など)の検討・提案を進め、教育現場での円滑な実装を後押しします。さらに、他学会や教育関係機関、行政との連携を深め、学習指導要領の改訂が確実に児童生徒一人ひとりの学びの充実につながるよう、多方面から貢献していく所存です。

 

【参考資料】
文部科学省「教育課程企画特別部会 論点整理」(2025年9月25日)
https://www.mext.go.jp/content/20250925-mxt_kyoiku02-000045057_01.pdf

 

JAEIS論点整理に関する意見表明(PDF版)

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