• 会長のあいさつ

ご挨拶

日本情報科教育学会会長 西野 和典
(2019年4月)

日本情報科教育学会は、学校教育における情報科教育の学術研究および実践研究に関する情報を交流し、研究開発を支援する目的で2007年12月に設立しました。併せて、情報科教育の分野に関する社会的啓発を図り、情報科教育の発展に寄与することを目的に掲げる学会です。
本学会は今年で12年目を迎えます。この間、情報科教育を専門に研究する唯一の学会として、情報科教育の在り方を検討し、教育課程や教育内容・方法・評価等の研究成果を発信し続けています。
近年、高度な情報技術と情報インフラの整備により、社会が大きく変動しつつあります。あらゆるモノがインターネトに繋がり、現実空間から大量で多様なデータがサイバー空間に収集・蓄積され、人工知能によって解析されて付加価値の高い情報として現実空間の課題解決に活用されるような社会が現れつつあります。このような情報技術の革新により、経済や産業、文化、生命や環境など、あらゆる社会システムにおいて歴史的転換の時期が訪れています。
このように変動の激しい社会を生きる若者を学校教育でどのように育成するか、この12年間に 2度の学習指導要領の改訂があり、初等中等教育における情報教育は大きく変化してします。特に今回の学習指導要領の改訂で、情報活用能力は、言語能力とともに教科等を越えた全ての学習の基盤として育まれ活用される力とされ、情報教育では、情報技術を活用して問題を発見・解決する資質・能力を育成する学習が求められるようになりました。
具体的には、2020年度から小学校でプログラミング学習が必修化され、教科の授業だけでなく教科外の教育活動においてもプログラミング的思考の育成が始まります。中学校では、これまでの計測・制御のプログラミングに加えて、ネットワークを活用した双方向性のあるコンテンツ制作のプログラミング学習が行われます。高校の情報科においては、卒業後の進路を問わず、情報の科学的な理解に裏打ちされた情報活用能力を育むことが重要とされ、共通必履修科目として「情報I」を設け、さらに選択科目として「情報II」を積み上げることになりました。モデル化とシミュレーション、プログラミング、情報デザイン、情報システム、データサイエンス等、情報に関する科学的な見方・考え方を働かせ、情報技術を活用して問題を発見・解決する学習活動を行います。
一方、2018年6月の未来投資会議で、大学入試においても、国語、数学、英語のような基礎的な科目として「情報I」を追加する方針が示され、2024年度に実施される大学入学共通テストで「情報I」の導入が検討されています。
このように、初等中等教育における情報教育の重要性と、教育内容の高度化が鮮明に示されています。本学会としては、これまでと同様に、会員の研究に資する情報提供や情報交流、研究発表の場を提供する等の役割を果たしつつ、学校での新しい情報教育の推進に資する社会的役割を果たしていきます。
情報教育の実践的研究や活動は、初等中等教育から高等教育に亘る情報教育の接続性を意識することが肝心であり、情報学と教育学、研究者と実践者、国内と海外、若手とベテラン教員が相互に交流し、多面的で多様な観点から体系的な情報学教育を検討し、更新し続けることを大切にしたいと考えます。また、情報教育の優れた教材を提供する企業、環境を整備する教育行政、情報教育を推進する他学会との連携も欠かせません。
本学会は、情報科教育の研究を推進するために、年2回の全国規模の研究会、各支部での研究会開催等の活動、全国大会やフォーラム等の企画・実施、学会誌の編集・刊行を行います。また、学会誌に掲載された論文は広くJ-STAGEで公開し、会員の皆様の研究成果を広く発信します。委員会活動では、この度「教材研究・教育実践委員会」を新設し、情報科の教材および教育方法の開発、実践、評価・検証等の活動を加速します。「教員養成・研修委員会」では、教員養成の在り方やカリキュラムを検討するとともに、プログラミングなど新教育課程で高度化した学習内容に対応するための教員研修に貢献する等、社会的要請にも応えられる学会を目指します。
このような情報科教育の研究を、今後とも、皆様と共に推進したいと存じます。本学会にご関心をお持ちの先生方や研究者の皆様、学校関係者、企業の皆様の入会お待ちしております。
今後とも、本学会の活動にご理解とご協力を賜りますようお願い申し上げます。